柳澤寿男さんは、日本人の音楽家・指揮者で、現在はバルカン室内管弦楽団監督・コソヴォフィル首席指揮者を務めています。
バルカン室内管弦楽団は、柳澤寿男さんが自ら立ち上げた楽団です。
実は第九の演奏で有名なのですが、何故有名になったのでしょうか?
今回は柳澤寿男さんが第九にこだわる理由や、坂本龍一さんとの関係、そして、奥さんや子供について調べてみました。
柳澤寿男のプロフィール
柳澤寿男さんは1971年8月23日、長野県に生まれました。
(柳澤寿男さんの「柳」の字は、正しくは「木」偏に「夘」です。)
長野県諏訪清陵高校卒業後、国立音楽大学で器楽科トロンボーン専攻しました。
そして、1996年にウィーンを旅行中、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団で指揮者を務めていた小澤征爾さんに強い感銘を受け、指揮者を志すようになりました。
その後、パリ・エコール・ノルマル音楽院オーケストラ指揮科で学び、佐渡裕さんや大野和士さんといった著名な指揮者に師事します。
デビューは2001年。
大阪フィルハーモニー交響楽団の指揮でした。
デビュー後は、東京フィルハーモニー交響楽団をはじめ、様々な楽団での客演を果たします。
その様な経歴の持ち主が、日本ではなく、バルカン半島で楽団を立ち上げた理由は?
そのあたりを詳しく見てみたいと思います。
柳澤寿男と旧ユーゴスラヴィア
柳澤寿男さんは、2004年にマケドニア国立歌劇場でプッチーニのオペラ『トスカ』の指揮をしたことがきっかけで、2005年から同国立歌劇場の首席指揮者に就任しました。
ですが、文化の違いなどから楽団員たちと上手く行かず、困っていたところに「コソボにも楽団があるからそちらで振ってみてはどうだ」と声が掛かります。
そして、2007年のコソボフィルハーモニー交響楽団によるローマ条約50周年記念コンサートで、ベートーヴェン交響曲第7番を指揮します。
当時、多民族が住まうコソボは、紛争こそ終結していたものの、まだ民族間の対立は続いていました。
この時、柳澤寿男さんはコンサート前、関係者の一人に「今また紛争が起きれば演奏会どころではない。私は銃をもって戦いに行く」と言われました。
しかし、コンサートの終演後、その関係者が涙ぐみながら「あんな事を言って悪かった。音楽を聞いて気持ちが変わった」と駆け寄ってきたそうです。
この経験を経て、柳澤寿男さんの中で「音楽に国境があってはいけない」という思いが強くなります。
柳澤寿男にとっての「第九」とは
音楽の力で、バルカン半島に住む多くの民族が手を取り合えるよう、という願いから、柳澤寿男さんはバルカン室内管弦楽団を立ち上げます。
では、どの様ないきさつで、バルカン室内管弦楽団は第九を演奏することになったのでしょうか。
最初は、変わり者のアイデアとして受け取られていました。
やがて、時が経つにつれて少しずつ受け入れられ、国連や警察の協力を得るまでになりました。
そして、第一次世界大戦のきっかけとなった、サラエボ事件100年の節目となる2014年。
この悲劇を繰り返さない祈りを込めた『第九』記念コンサートが行われました。
ベートーヴェンの交響曲第九番、日本では『第九』と呼ばれ親しまれるこの曲は、ヨーロッパでは「欧州を讃える歌」として認知されています。
民族融和や世界平和への願いを込め、第九平和祈念コンサートは行われました。
以降も、バルカン室内管弦楽団は第九の演奏を続けています。
坂本隆一との関係は?
遠いバルカン半島で、民族の架け橋となるべく奮闘する柳澤寿男さん。
そんな、柳澤寿男さんと、日本では知らない人の方が少ないであろう、ビッグアーティストの坂本龍一さんは交流を持たれています。
その、交流関係が気になりますね。
答えは「東北ユースオーケストラ」
東北ユースオーケストラは、東日本大震災をきっかけに、東北の人々を支えたいという思いから誕生しました。
このオーケストラは、岩手県・宮城県・福島県に住む小学生から大学生までのメンバーで構成されています。
実は、このオーケストラの発案者が坂本龍一さんなのです。
坂本龍一さんは、楽団の音楽監督も務めています。
そして、指揮者を務めるのが、柳澤寿男さんです。
東北ユースオーケストラは、現在も活動を続けており、年に数回の演奏会やイベントに登場してます。
家族構成はどうなってるの?
海外を拠点とし活動する柳澤寿男さんですが、奥さんや子供はいるのでしょうか?
これについては、妻と息子がいて、日本に残しているらしいという事位しか分かりませんでした。
しかし、柳澤寿男さんの活動も、奥さんの支えがあってこそだったのではないでしょうか。
こちらから、当時のコソボフィルハーモニー交響楽団との様子です。
戦場で奏でた音色に勇気や癒しをもらった方は沢山いらっしゃったでしょうね!
バルカン半島にかける想いが伝わってきますね!
人生色々、音楽家も色々ですね!
下記の音楽家の方々の人生も興味深いですよ♪
柳澤寿男さんが目指すものとは
最後に、柳澤寿男さんのこちらのコメントを引用して、ご紹介致します。
「我々は音楽家ですから、このオーケストラ自体のクオリティを上げなければならない。多民族のオーケストラです、というだけで終わってしまうのは本意ではありません。そもそもの音楽自体で人を感動させることができて、それをやっている人たちがさまざまな民族でできている、ということじゃないと。まず、音楽がすごい、演奏が素晴らしい、と思ってもらえないと。国際社会とか世界的な土俵で見たときに、民族ナントカ、というもの自体を乗り越えるものがないと」
引用元:株式会社萩庭桂太写真事務所
https://keitahaginiwa.com/3943/detail
音楽で民族を繋ぐ、という目的だけにとどまらず、楽団としての向上心も忘れていない柳澤寿男さん。
これからも、是非活躍していただきたいですね。